去年の秋、かざまゆのさんの演技に惚れた話

すごーく前に書いた下書きが残っていたので。


 

2018年秋、私はまた飽きもせずに日比谷に向かった。

目的は宝塚月組公演、エリザベート

私にとって、人生初めてのエリザベート

チケット難な状況が色々と重なっていたけれど、なんとか、役替わりA/Bそれぞれの観劇予定を立てていた。(一部の役で、配役の入れ替えがあり、役替わりをする生徒さんは二役演じることになる)

月組さん方のことはまだ全然詳しくなかったけれど、役替わりメンバーのことは、名前と顔だけ予習していった。

 

1回目、役替わりA公演の観劇。

 

初めてのエリザベートはとても楽しかった。 エリザベートの生涯と、その周囲の人々の群像劇。

 

けれど、正直よく分からなかった。

理解できない自分が馬鹿なだけだな?と思ったけれど、よく分からない!という感想はよく見かけるので一安心。

けれど、未知だからこその熱狂的人気もあるのかなと感じたし、これはゆっくり何度も咀嚼する物語かなと感じた。この話はまたどこかで。

月組さんらしく感情ののった歌声が楽しかった。 

役替わりメンバーの演技にも注目した。あかつきさんのルドルフは不安定で危うげで死にのみこまれて行くようで、闇が広がるダンスに死に対する表現が現れていて素晴らしいなと思った。引きずられながらも怖いのに惹かれてしまう感覚。

 

翌週。 

2回目のエリザベート、役替わりB公演の観劇。

さてここで、事件が起こる。

 

あのルドルフ、なんだ??

 

確かこの役替わり、先週シュテファンをやっていた方が、今回のルドルフのはず。

確か、まだ下級生のタカラジェンヌさん。

先週のシュテファン、冷静さと渋さのあるしっかり者だった。下級生の方と聞いていた割に渋い演技をするなぁとぼんやり思った記憶。

 

ところがどうだ、この、危うげな幼いルドルフは。 先週のシュテファンと同じ方とは思えない。

本当に、第一声で頭を殴られたような衝撃を受けた。

一声一声に、一挙一動に、かざまさんのルドルフの人間性が散りばめられていた。

 

その演技の幅だけではなくて、先週見たあかつきさんのルドルフとも違う、また新たな一人のルドルフを見せられていた。

怖いけれど拠り所が欲しくて、でも幼くてそれしかもう選択肢が見つけられなくて、自ら死に近づいていく感覚。

演技というよりは、もはやルドルフという一人の人間を見ている気持ちだった。

 

このタカラジェンヌさん、お名前は、かざまゆのさん。

このルドルフで、私は彼女の演技にすっかり惚れてしまった。

 

この後、惚れた熱があまりに強すぎたせいか、人のご厚意と幸運に恵まれ、新人公演、そして最初あまりかざまさんを意識せずに観てしまったAパターンをもう一度観劇することができた。

新人公演でのルキーニは、泥臭さと人懐こさが残っていて誰の近くにもいそうだけれど、殺人犯で、だからこその狂気を感じる空気で、やはり一人の確固たるルキーニだった。

ルキーニを、そして改めてAパターンでのシュテファンを見て、ますます訳が分からなくなってしまった。

かざまゆのさんが一体どんな方なのか、まるで透けて見えない。舞台上にいるのは紛れもなく、シュテファンでありルドルフでありルキーニだった。

 

これからのかざまさんは、舞台上でどんな人物のどんな人生を見せてくれるのだろう。ワクワクして仕方がない。

美しい猫たちに魅了された話

先の雪組公演、第二幕、
ショー・パッショナブル
「Gato Bonito!!」
(以下、ガトボニ)

みなさん観ました?最高だったよね??
私は未だに興奮し過ぎてて、遺伝子レベルで何か組み込まれてたのかな?と疑う毎日。
それとも前世にラテンの血でも混じってたかな?(混じってない)

特にプロローグがあまりにも好き過ぎて、吐き出さないと私のマグマが爆発しそうでもう無理。

 

そう、とにかく、とにかく、プロローグが最ッ高!!
最初からクライマックス過ぎない!?
みなさん意識保ってた!?
私は無理!!
興奮し過ぎて意識が朦朧としたから、脳内麻薬って多分こういうことなんだと思う。

 


まずもう、とにかく、
ビジュアルが最高過ぎる。

黒塗りメイクに白い衣装がよく映えるし、たくさんのフリルや装飾で布がめちゃくちゃボリューミー、光り物やスパンコールもギラッギラ輝いてる。
物凄くゴージャス!!
光り物たち、分かってる。
輝くべきところ自覚してて偉いぞ。
それにラテンショーのテンションだからなのか、黒塗りメイクでいつも以上に華やかな目元が目立つからなのか、両方なのか分からないけど、舞台上のジェンヌさん方もいつもよりギラギラして挑発的に感じてしまう。
男役皆さんでの「フォッ」っていう掛け声は、もう条件反射で脳ミソ痺れるから……


そしてもー、ね!
特に、ね!!

あやかぜさきなさんのビジュアルが、
何もかもが完璧に大好き過ぎて死ぬ。

最早どこがどう好きとか表現しようがないから、頭の天辺から足の先まで全部最高だから。
色白な方なのに、なんでそんなに黒塗りメイクが似合うの???
あの髪色とか天才的過ぎない???
写真を配って回りたい人の気持ちを理解したよね。

全世界の人にオシキャットあやかぜさきなさんのビジュアルを見て欲しい~~!!

最高~~!!!

 

 

皆さまの登場の仕方も最高なんだよね…

序盤、大勢の男役さん方が銀橋に登場してくる時の圧と言ったら!!
この迫力が円盤だと少し伝わりにくいのが悔しい!!
本当にすごい迫力だったんだよ……
左右から大勢の男役さん方が銀橋を走ってくるの……
銀橋をだよ?客席に一番近い場所だよ?
ギラッギラの波が左右からすごい勢いで迫ってくるんたよ……
そんなのあっという間に波に飲み込まれるじゃん……?
横の席の方、ずっと無言だったのにこの時ばかりは「おぉっ」って声あげて驚いてたもの……


のぞみさんが登場してきたあと寝転んでるのも意味分からないほどに最高だよね。
王者か?
ヒエラルキーの頂点か??
最初こそ、あなたに惹かれて来てしまったよ、という雰囲気の甘い歌詞を歌うけど、それとは裏腹に、俺からは離れられないだろ?という余裕と強引さを感じられる歌声よ……
サイコーof最高……


その後に登場する娘役さん方が、次々とのぞみさんの前に倒れこんでゆく姿はもう、色気の大盤振る舞い。
見てはいけないものを見てしまった気持ちになる。
そして、のぞみさんの圧倒的魅力がますます強調される……
そりゃあんなの射抜かれて倒れもする……

そんな中で堂々と、そう簡単に他の女のものにはさせないと言うようなプライドさえ感じる、まあやさんの登場の挑発的な格好良さと言ったら!

 


そうそう今回のショー、まあやきほさんの表情がまためちゃくちゃ最高!
格好良かったり可愛いかったりコロコロ変わるから、観ているこちらは翻弄されてしまう。
まさに猫。

まず最初にゾクゾクしたのが、プロローグの後半のトップコンビ以外が捌けていく場面。
あやなぎさんに扇子を預けるんだけど、その時にまあやさん、

あやなぎさんにめっちゃ濃厚なウインクかましてるの!

円盤の映像観た!?観て!?今すぐ観て!イケメン過ぎない?

プロローグから少し脱線してしまうけど、マリアの最後の表情とか、イケメン過ぎるんだけど、観た!?
のぞみさんを他の女には指一本触れさせなさそうな鋭さに射殺される。

他にもチャウシーもめちゃくちゃ格好良いんだけど、一方での中詰や黒猫のタンゴの可愛さ!
特に黒ネコのタンゴのコロコロ表情変わる感じ、ずっと見てて飽きなくてめちゃくちゃ可愛い、頬っぺた膨らませるのあんなんズルくない!?
このシーンにまあやさんのスターアングル持ってきた人、あまりに優秀過ぎる。
金一封を送りたいから名乗り出て。

 


あとね、これだけは言いたいんだけど、
コーラス隊がめちゃくちゃ格好いい!
なんと言うか、トップを支える周りの層の厚さを感じる……ワインのラベルとボトルが揃っているところに、このコーラス隊の登場で中身が注がれる感じ……(ビオラか?)
プロローグから話それちゃうけれど、マリアのコーラス隊というか歌手も同様にめちゃくちゃ格好良くて好き……ほんっと好き……

 

 

最後になるけど、個人的な感想ですけど(全部そうだよ)、のぞみさんまあやさんのトップコンビって、お互い全力でぶつかり合って受け止め合って、殴り合いみたいなものを感じるんだよね。
そんな空気を初っぱなから感じられるところも、今回のプロローグの好きなところ。
歌が上手すぎて楽しくてしょうがなくて、高めあってる中で、お互いしか分かり合えない世界を共有している、そんなコンビな感じがしてる。

 

 

もちろんプロローグだけじゃなくて、全編通すともっとバチバチしてるし、ギラギラしてる!!
本当何度見ても新しい発見があるし、血が騒ぐし、脳内麻薬はドバドバ出る。

結論:ガトボニは良いぞ。

宝塚に出会ってしまった話 後編

やっと後編。

お芝居の後は第2幕のショー。
「SUPER VOYAGER!」ー希望の海へー

もうこれ先に言ってしまうんだけど。
観劇後にやっと気が付いたんだけど。

私、宝塚のショーが、大ッッッ好き。

ディズニーのショーやパレードが大好きなんだからもっと早くに気が付くべきだった。
クオリティの高い歌やダンス、きらびやかな衣装やセット。観客を酔わせようと絶え間なく注がれる壇上からのアピール。その空気に呑まれてゆく客席。そんな空気感を共有する劇場の一体感。大ッッッ好き。
脳ミソ真っ白になる昂りを感じるんだけど、皆さんもそんなことある?
いやでも真面目にあんなもの見せられて皆どうやって平静を保っているんだろう……終演後に顔ニヤけたまま日比谷歩いていたけど大丈夫かな……

まぁそんなアドレナリンどばどば具合だから、正直記憶がめちゃくちゃ曖昧……
まともに感想が書ける人、どうやって記憶を保ってるの……?私には無理……

ちなみに、この初宝塚観劇に向けてフォロワーさんに少し事前情報を聞いていて、その予習ポイントは3点。
・トップコンビお披露目公演で、二人の名前から一文字ずつとって「希望」
・トップスターのぞみふうとさんは、かつて憧れのあまみゆうきさんに語りかける形で日記を綴っていた「天海さんもそんなことある?」
・ララランドとEXILEのシーンがある
の、3本です!
それではいざ本編へ。



もう幕間のあいだに緞帳が上がってセットが現れただけでテンションが上がる。初めての宝塚だから許してほしい。SUPER VOYAGERの文字が、海の波のように青くゆらめき輝く。
開演してすぐ、トップ娘役ことまあやきほさんが、お嬢様レースふりふりな衣装で登場するんだけどこれがめちゃくちゃ可愛い、歌声もめちゃくちゃ可愛い美しい!
先ほどまでの鋭利なマリーアンヌはどこに行ったのか!

彼女が舞台下へ下がっていくと思ったら、同時に上から現れるトップスターことのぞみふうとさん。
その歌声に、ぎゅっと抱き締められてしまう……あんな船長がいたら船員も乗客もみんな船長のオンナだよ……船ごと抱き締めてるよ船長……

あと上から登場ってなんだ、やはり装置設備がすごいし、流れるようにスターが現れる視線誘導が素晴らしい。

動揺している間もなく音楽が盛り上がり、雪組の皆さまが登場!
もうめっちゃくちゃキラッキラしてて眩しい!笑顔が眩しい!皆さまお芝居の間どこにそんなキラキラを隠していたの……さっきまで命燃やすようにフランスを生きて革命してたじゃん……!?
噂には聞いていた、イルカのぬいぐるみを熱く抱き締めるシーンやエア腰グイ壁ドンなど、なかなかトンチキなシーンも挟みつつ、目まぐるしく場面が移り変わってゆく。トンチキなんだけど、正直そんなことは大した問題ではなく、とにかく皆さまから発されるキラキラ成分を絶え間なく浴びて脳内真っ白。
もうテンションが上がりすぎてニヤニヤが止まらないんだけど、そうこうしている間に見覚えのあるアイテムが登場。

そう。
ポンポン。

現地に行かれた方はご存知かもだが、今回のこの「SUPER VOYAGER!」は、

「客席の皆さまもポンポンを買って一緒に踊ってね!私達も皆さまの近くに伺います!」

という客席参加型。
まぁ要は客席降りのあるショー。
振り付けレッスン動画なんかも事前に公式ホームページに上がっていた。
この動画がまたわちゃわちゃしていて可愛かったんだけど、その話は今は置いておくとして。
私はこの振り付けをしっかり勉強していった。
ポンポンも買って装備していった。
何故ならば。
初めての宝塚だったからではない。
私の今回の座席は、後方通路前。


そう

客席降りで

ジェンヌさんがやってくるであろう席


宝塚の神は何と気まぐれないたずらを………??


き、きた……!と少し身構えながら、この時初めて自分の左右の様子を伺う。
なんというポンポン所持率の低さ
何故なら後方座席だから!
みんなオペラに必死!!
待って!
ジェンヌさん来るよ!
ねぇみんな!
私を一人にしないで!!

そんな一瞬の動揺の間に、客席降りが開始。

とても背の高くてすらっとした綺麗な男役さんが、目の前に現れる。さすがに目の前に来るであろう方のお名前が分からないのは後悔しそうだったので、事前に調べて行った。

君の名は。

あやおうかさん。

正直目の前に現れられると固まるしかない。
客席反対端の方から順々にお客さんに絡んでいく姿を、固まったまま笑顔で眺める。

怖い!
来てほしいけど来てほしくない!

そしてついに私の目の前で、立ち止まる。

た、立ち止まった!
そりゃそうなるよね近くにポンポン持ってる人いないもんね!?

固まる私!(笑顔)

ポンポン持ってるんだし踊りなよ~という顔で迫ってくるあやさん!
(この時の笑顔がまたちょっといじわるな感じなのが、ずるいんだよなぁ)

ますます固まる私!(笑顔)

そして彼女は……私のポンポンにご自分のポンポンをタッチして帰っていきました……

これが………ポンポンタッチ…………

こうして、公演中にも関わらず、しばらくの間脱け殻になっていた。

間近で見るタカラジェンヌ、キラキラがキャパオーバー過ぎて、美容にきくどころか寿命が縮む……殺るか殺られるかの戦いだったよ……


我に返ると、THE 宝塚なラインダンス。
宝塚のラインダンス、何というか職人魂さえ感じる統一感。もちろんそんなダンスにも圧倒されたんだけど、他にも驚いたことがあって、それはあの独特なかけ声。慣れてくるとテンションが上がる、めちゃくちゃ気分が高揚する。

ちなみにこのセンターの方が、先程目の前に現れて私の心を盗んでいったあやさんだなんて、この時はまだ知る由もない。



さて。
まだプロローグまでしか進んでいないのだけど、この調子で感想を書いていたらやたら長くなった。
自分でもひくわ。
しつこすぎるので、全文は本記事最後に格納。
興味のある奇特な人がいたら、暇で暇で死にそうな時にでもどうぞ。


そんなこんなで初宝塚を終えた私。
もう今更ここで説明する必要も無い位、最高に楽しかったということは分かって頂けると思う。
今だからこそ思い付く話も少し書いてるけど、なるべく当時初めて観劇した時の感想を思い出して書いた内容でこのテンション。さぞや初回ですっかり宝塚の魅力に取りつかれてしまったと思うでしょ?私も思う。

違うんだこれが

このブログは、宝塚と出会ってしまった話であり、宝塚にハマってしまった話ではないんだこれが。

びっくりすることに、ここまではしゃいでおいて、まだこの時はハマっていなかった。
嘘でしょ…
いや、今思えば、ハマっていることに自覚が無かっただけなのかもしれない。
この時自覚していたのは、この「ひかりふる路/SUPER VOYAGER!」という演目が最高に大好き、ということだけ。
宝塚にハマったと自覚するまでに、実はここからあと2作品を要する。
その2作品というのがこの後に続く本公演、

花組ポーの一族
月組「カンパニー/BADDY」

の2つ。
実はその間に雪組全国ツアーの「誠の群像/SUPER VOYAGER!」にも行っているのだけど、これはSV見たさにだから……ハマるまでに要した作品という観点ではノーカンだから……有給まで使ったけどノーカンだから………


これらの現場を経て、じわじわと、やっと宝塚にハマった自覚することになる。
劇的に恋に落ちた人の文章を読むのは楽しいし憧れる、夢があるし輝いてる。
でも私はこうやって、気付いたらいつの間にか恋をしている。沼を少し進んだところで、あれっ?ここどこ?となるのだ。
だからせめて、まだ出会いを覚えてるうちに、こうやって文章に残せてよかった。

明日からも楽しく宝塚に通おう。




以下、SV感想全文。

続きを読む

ソラカズキの話をしよう

ハッスルハッスルハッスルハッスルハッスルメ~ツ!(挨拶)

 

バウホール公演、ハッスルメイツに行って来ました。
最高。
ハッスルメイツたち、最高。
ソラカズキ、最高。
ソラカズキシックで、配信されているソラカズキの歌を聞いてすごす日々。
この話をするにはまず、ソラカズキこと、かずきそらさんとの出会いについて書かねばならない。

 

  順調にたからづかの観劇を重ねていた私。なにせ今年の目標は全組の観劇、宙組本公演チケット発売の頃にはもう紫色のカードを作ってチケット戦争に励んでいた。なお、お友達にはしてもらえないのでカードを作ろうが作らまいが戦争は戦争。紫色のカードはどうのつるぎ か こんぼう ってとこかな……(ひのきのぼう は大手プレイガイド)

  そんな日々の中、宙組本公演のチケットを無事入手し、劇場へ足を運んだ。その公演は、「天は赤い河のほとり/シトラスの風」。
この公演、自分の見かけた範囲での前評判は、ラムセスを演じるせりかとあさん一色。多くの方々がせりかさんに落ちてブログを始める様を目にしていた。(せりかさんに落ちるとブログを始めなければいけないらしい)

  天河を予習中、ラムセスのキャラクターは正直好きな系統かもしれない……と思っていたので、私もご多分に漏れず観劇後にはせりかさん~~!!と悶え、人のブログを読み漁っては心のわかる~!ボタンを連打しているだろうと思っていた。

 

  ところが、上演開始しばらくして、とある一人に目が奪われる。カイル王子に仕える隊長の一人、赤いマントを羽織った、カッシュ。
何と言うか、とにかく、お顔が目立つ。顔認識能力がめちゃくちゃ低いことに定評のある私でも、一瞬でどこにいるのかが分かる。どことなく、じゃにーずのうえだたつやさんの系統を感じる。あのオラつきみのある男顔(褒めてる)、めちゃくちゃ気になる……
  しばらく注目していると、身のこなしがとても軽くてキレのあることに気が付く。歌の目立つところでは、伸びと深みのある歌声が聞こえてくる。

  はっはーん、さては人気の若手実力派だな!と勝手に目星をつけ、ショーでも注目してみると、お芝居の時以上に際立つダンスのキレ。
  そしてどのシーンにいても、本当にどこにいるのかすぐ分かる。お芝居は衣装が分かりやすいからまだしも、ショーでは衣装も髪型もすぐ変わるのに。こんなことは初めて。


  帰宅後も彼女のことが忘れられず、調べてみる。その方の名前は、かずきそらさん。

  しかもなんと、次のバウホール公演主演をされるという。なんというタイミング。

 

  正直なところこの時、自分でもかずきそらさんに落ちたのかどうか分からなかった。けれど、いにしえオタクの直感が囁いた、行っておかないと後悔すると。ただし相手は悪名高きバウホール。本公演に比べて、公演期間は短いし劇場キャパも小さい。一般人が手にできるチケットなんて存在するのだろうか?もし手に入れられたとして、ぽっと出のにわかが現地にいて叩きのめされないだろうか(妄想です)??けれど、直感に抗うことはできなかった。
  相変わらず紫色のカードは友達にしてくれなかったが、一発目のプレイガイド先行当落当日、私の目に飛び込んできた「当選」の文字。

 

チケットは……存在……したのだ……

 

ありがとうチケットぴ◯。

ありがとう当選確率UP券。

あとみんな、第三希望までちゃんと入力しなきゃダメだぞ!

いにしえオタクとの約束だ!
この後ご縁にも恵まれ、同日別時間公演のチケットも手に入れる。

 

こうして8/13、私は初めてのバウホールへと足を運んだ。
とにかく最高だった。
主役は遅れて登場するソラカズキ。
誰よりもスパンコールやラメを施したきらびやかな赤い衣装を身に纏い、センターで歌い踊るソラカズキ。
歌い出した瞬間に、踊り出した瞬間に、一気に会場の意識を掌握するソラカズキ。

 

  歌声が美しい。ハスキーで深みがあり、響きの残る歌声。弾むようにポップなリズム感。テーマソング1のハッスルメイツではそのリズミカルな歌声に元気を貰えるし、テーマソング2の君のSORAでは優しい歌声が心に染みわたる。キッチュでのグルーヴ感と芯のある歌声はロックさを増し、バンドライブのよう。大漁ソーランでのドスの聞いたイケメンボイスには惚れ惚れてしまう。

 

  表情が美しい。その美しいお顔をシーンによってくるくる変える。ハッスルメイツやショーメドレーでは、その輝くような無邪気な笑顔にウインクに魅了される。ルキーニで見せる胡散臭いけれど耳を傾けたくなる不思議な表情。大漁ソーランでは頼りがいのあるやんちゃな兄貴顔に惚れてしまう。和物メドレーで見せる陰のある表情にドキッとさせられる。

 

  そして最大の魅力と言っても過言ではない、キレッキレの素晴らしいダンス。キレているだけではなくて動きもリズム感も緩急自在で、その七変化ぶりから目が離せない。デュエットダンスの振り付けや黒燕尾といった、いわゆるTHE 宝塚男役の振る舞いももちろん忘れずに見せてくれる。

 

  特にNEVER SAY GOODBYEと、ボヘミアン・ラプソディの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
  NEVER SAY GOODBYEでは一声も発さず、裸足でのダンスと表情で全てを表現していた。いつものキレのある動きだけではなく、しなやかな動きとの融合。客席に向けられた苦しそうな、悩ましげな表情からは目も心も離せないし、伸ばされた美しい手足の先まで感情を持っていた。
  ボヘミアン・ラプソディでは歌いながらも、表情とダンスでそのストーリーを表現していた。最後母親を思い浮かべて、少し苦しそうな、でも少し恍惚とした笑顔で手を伸ばし、若者は何を思っていたのだろうか。

 

  あぁ、この人は根っからの表現者なのだな……、と、表現力の爆発に呆然とした。

 

 

  もちろん他の方々もとても素敵だったのだ。まつかぜさんの黒燕尾は男役の美しさを凝縮したかのような格好良さだったし、るかぜさん・あまいろさんのテンプテーションが醸し出す色気と青さの入り交じった空気感にあてられた。
  でも、かずきそらさんからはどうしても目が離せなかったのだ。この引力は正にスターのそれだなと、私は思っている。
  これからかずきそらさんは、益々、宝塚男役として磨きをかけていくのだろう。既に今でもこんなに表現力が爆発しているのに、今後どうなっていくのだろう。楽しみでしょうがない。

 

宝塚に出会ってしまった話 中編

誰が二部構成だと言った!中編だよ!

 

 ビギナーズラックにより手に入れた初宝塚の機会。予習も万全。楽しみに心躍らせてついに当日を迎えるも、お向かいの劇場とハシゴ計画を立てていたために駆け込みダッシュをキめ(地方民あるある)(ないよ)、ギリギリ息は整っても心の準備は全くできないまま、いざ開演を迎える。

 (ちなみに、お向かい即ちシアタークリエでは、TENTHの公演が行われていたよ)

 

 結論からになるけど、本当に、最高な形で初宝塚を経験できた…

と冷静に言えるのは今だからであって、終演後しばらくは、あまりの楽しさにただただ動揺していた。多分、人生で初めてディズニーランドに行った時はこんな感じなんじゃないかな?みたいな心境。

 今回の演目は、ひかりふる路というお芝居(95分)+SUPER VOYAGER!というショー(55分)の2本立てだったんだけど、どちらも全然違う方向に最高に楽しかった。きっとこの演目は私の観劇人生の中で、ずっと好きな作品上位に居続けるだろうと確信しているから、両方の感想を残しておきたいなと思う。

 

 まずはお芝居、「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~」。

 

とにかく掴みが最高

 

 とにもかくにも、始まり方が最高、掴みが最高。

 最初、チェス盤を挟んで食えない会話をする二人がいるだけのシンプルなシーン。静かな音楽。いかにも敵対勢力の秘密話というような、静かで怪しい雰囲気。

 

 そこから一転。

 

 響き渡る低音からの上昇音形で、一気に盛り上がる音楽。高さもある大きな舞台装置と、遠目から見ても分かるほど色とりどりで趣向を凝らした衣装に身を包んだ集団の出現。興奮や攻撃性が感じられる、熱い大合唱。

 この時点でもうめっちゃくちゃテンションが上がる。視覚、聴覚両方を殴ってくる。装置に音楽に人に、色々な使い方がめちゃくちゃ贅沢、とにかく資源の豊富さがすごい!(言い方)

 

 今壇上にトップスターさんやトップ娘役さんがいるとかいないとか、全然分からないけど、そんな右も左も分からない状態なのにとにかく興奮させてくるの、すごい。こんなに心昂る舞台があっていいの?開始数分だよ?

 そしてこの後、ノンストップで国王処刑まで畳み掛ける展開がまた最高なのだけど、それはまた後で。

 

トップスターさんが最高

 

 序盤、息もつけないほどの勢いの中で国王処刑が行われた後、「彼の言葉を聞こう、ロベスピエールの言葉を!」と、照明が落ちて暗くなるのと同時に、舞台中央せり上がりにスポットライトが差し、ロベスピエールが現れる。

 あ~~初心者な上に色々と鈍い私でも分かるよ!トップスターさん出てくるのね!と周りに倣って拍手をしながらワクワク見ていたら。

 

 とてつもなく迫力のある歌声。

 

 低音から高音までしっかり芯があって、響きも余韻も美しく、感情に溢れた歌声。劇場を一瞬にして優しく覆うように包み込んでいくのを感じた。このトップスターさんこそ、歌うまと評判高い雪組トップスター、のぞみふうとさんである。

  トップスターさんというのは、ビジュアル、立ち振る舞い、演技、歌、躍り、もちろんどれも素晴らしいものをお持ちなのだろうけど、それだけじゃなくて、何かをもって劇場全体をのみ込むことができる方なんだろうなと。ただビジュアルや技術が優れているだけではなくて、そういうったパワーを持った方こそがトップスターさんなのだな、と。あの時本能に叩き込まれた。

 

 のぞみふうとさん演じるロベスピエールは、希望に溢れた序盤から一転、策略にはまり、友人と決裂し、徐々に狂気に囚われ、最後は絶望のどん底へ、しかしその中で僅かな光を見つける。95分の短いお芝居の中で、激動の人生を歩み大きく感情を揺れ動かすのだけど、その感情の振れ幅が、これでもかと言うほどに歌声にのっていた。

 宝塚は初めてだけど、今までそれなりにいくつかミュージカルは見てきた、その中でも一番歌声に感情を感じて、魅了されていた。

 あの歌声に惚れない人なんているの…?あらがえなくない…?

 

ビジュアルが美しくて最高

 

 もうとにかく、とにかく全ての方が美しい。容姿端麗が選考基準になっているのも納得だし、大変厳しいお稽古をされてきたのだなというのも納得。お顔が美しい。スタイルもとにかく美しい、手足が長い。姿勢が美しい。

 ただの面食いか?と思われかねないけど、これ舞台ではめちゃくちゃ重要で、とにかく舞台映えが華やか。美しいお顔で大きな表情の演技をするから、遠くの客席にまでしっかり感情が伝わってくるし、臨場感が増して感情移入してしまう。スタイルや姿勢が美しいから、迫力のある動きに圧倒される。

 

 美しいお顔に加え、あの独特で濃厚な舞台化粧。正直なところ、生で観劇するまでは写真や映像を見て抵抗を感じていた。でも、劇場で実際に客席から見たときの美しさや分かりやすさと言ったら!後方席からでも、感情によって揺れ動く美しい表情を楽しむことができる。

 私はもう、あの舞台化粧じゃないと物足りない体になってしまったよ…

 

 美しいお顔で一際目を引いたのが、先の記事にも名前を挙げた、あさみじゅんさん。

 初めての宝塚な上に、顔認識能力がめちゃくちゃ低いことに定評のある私、そして後方席というトリプルコンボ。にも関わらず、一目でどこにいるか分かるほどのお顔の存在感。美しいだけでなくパーツも大きい。ご自身のその魅力を分かっておられてなのか自然となのか、そのお顔満面に感情を表現するから、ますます目を奪われてしまう。あの美しいお顔で狂気じみた笑顔や、しかめ面をされてみなさいよ、心を奪われて帰ってこられなくなるよ。

 美しさは正義。

 

作品が最高

 

 当たり前…と言われてしまうようなことかもしれないけど、難しい。

 今回のお芝居は完全オリジナルということだったのだけど、95分という短い間に、1つの革命が始まってそして終わっていく様、その中を生きた人々の激動の人生、友情、愛、憎悪、陰謀、さまざまなものを盛沢山に詰め込んで、よくまあここまで綺麗に纏まっているなと感動した。(偉そうにすみません生田先生最高です)

 纏まっているだけではなくて、前述したように掴みが最高だったり、盛り上がりのポイントや、観客の心を掴むポイントを外してなくて、緩急もあり、とにかく常に心が昂る。

 作品序盤から

 「敵に対して法律など必要でしょうか?」

 「国王である事こそが罪なのだ!」

 とかいう衝撃的な台詞を美しい笑顔でぶっこまれたら、もうこの世界の虜になるしかなくないです??

 

 そして、そのストーリーに力を与える音楽が大変素晴らしい。今回は特に、フランク・ワイルドホーン氏に全楽曲を提供頂いているという贅沢さ。観劇中は圧倒されるのに、観劇後は思わず口ずさんでしまいたくなるメロディ。

 私は家でずっと歌ってる。

 あぁ…スコア(全てのパートの楽譜がまとめられたもの)が欲しい…お金ならいくらでも出す…

 

登場人物が最高

 

 純粋で真面目だけど危うさのあるロベスピエール、一見口がでかいだけと思われがちだが頭の回転が速くそして情に厚いダントン、気は弱いが強い芯と行動力を持ったデムーラン、誰よりも強く逞しくて賢いマリーアンヌ。

 95分という短い中なのに、台詞や立ち振る舞いによってその魅力的なキャラクター性が、これでもか!と言うほどに伝わってくる。脚本・演出の素晴らしさと演技の素晴らしさ、全てがかけ合わさった結果の説得力なのかなと思う。雪組の皆さまと実際に交流している脚本・演出家の方が作品を作られ、配役し、長い稽古期間を確保する。これができるのは宝塚の強みなのかなと思う。もちろん全てがオリジナル作品な訳ではないのだけど。

 脚本・演出家の方から見た組子の皆さまの話、もっと聞いてみたいよね…

 

 主要人物以外もとてもキャラクターが際立っていて、何度見ても目が足りないし楽しくて仕方がない。イチオシはフレロンとフーシェだよ!

 そして私の最推しは、ジョルジュ・ジャック・ダントン!めちゃくちゃ好み分かりやすいってよく言われるよ!レッツチェケラ!(死後)

 

 余談なんだけど、この確立されたキャラクター性と、95分という短さからくる考察の余地だらけの環境、めちゃくちゃオタクが好きなやつじゃない?まだ見てないオタクいる?

 早く!早く見て!!ひかりふる路見て!!!円盤貸すから!!!!これからの人生ますます楽しくなるよ!!!!!

 

 

SVに辿り着けなった…

つづく。

宝塚に出会ってしまった話 前編

 いにしえのオタクなので、どんなジャンルでも半年ROMれの言いつけを守ってきた。正直私のペースでは半年じゃ全然足らないとしか思えないが、ブログを書いてみようと思う。自分用の記録も兼ねて。

 

 今回は、宝塚に出会ってしまった話。前編。

 

 いわゆる2.5次元舞台から観劇にハマり(このあたりの話もまた追々したい)、いつしか東宝劇団四季、その他様々なジャンルの舞台を観るようになり、微々たるものだが遠征にも精をだし(そもそも地方民には観劇=遠征なので交通費はチケット代に含むものとする)、こんなぺーぺーもお恥ずかしながら、周囲の友人からは"舞台沼の人"として扱われるようになった。そんなある日、ふと、思った。

 

宝塚、1回くらい観てみたいな

 

 元々雑食根性たくましいオタク、自分のいるジャンルのことは一通り経験しておかないと気がすまない性分。かの有名な宝塚歌劇団のステージを見ておきたくなった。

 正直に言うと、偏見があった。演者さん方にキャーキャーするタチでもないし、どんなにプロフェッショナルな方々だとしても、女性の演じる男性では見た目も音も物足りなく感じてしまいそう。だからこれまで興味も手も出さずにきたが、それなりに幅広く観劇を続けてきて舞台オタクの端くれとして少しだけ成長した私。食わず嫌いせず、まずは一通り見てみたいな、と思ったのだ。
 演目を選ぶのが大切!ということは先人の方々に教えて頂いていたので、タイミングとインスピレーションが一致した2017年秋。某プレイガイドに先行の文字を見つけた私は、控えめに1公演分だけを申し込んだ。今思えば天下の宝塚に1公演分だけって。初心者かよ(初心者だよ)。
 ちなみにインスピレーションと言っても、ポスターとあらすじだけ見て決めた。そう思うとポスターの出来の大切さを改めて感じる……
 プレイガイドで応募してみたものの、一般発売直前の時期に行われる先行。多少とはいえチケット戦争をくぐり抜けてきた私には分かる、かなり出遅れていると。宝塚のチケ難さは聞き及んでいる。まぁどうせ当たらないんだろうな~~と思って迎えた当落発表日。


朱雀様にお申込みいただいたチケットを下記の内容にてご用意いたしました。


当たるんかーーーーーーーい!!!!!!!

 
 なんと応募1発目、1公演分の申し込みだけで当選を勝ち取ってしまった。なんというビギナーズラック。 そんなこんなで私の初宝塚観劇が確定した。記念すべきその公演は、

 宝塚雪組東京公演「ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜/SUPER VOYAGER!-希望の海へ-」

 結論から言うと、それはもう大変な当たり演目を引き当てたのだが、その話はまた後ほど。

 

 誰しも覚えがあると思うのだが、チケット当選は麻薬みたいなもので、当選時の気分のアガりようと言ったらそれはもうラリっていると表現しても過言ではない。俄然モチベーションの上がった私ことチョロいオタクは、予習をするべく宝塚のHPを開いた。

 フランス革命背景のオリジナルストーリー、1789とかスカピンとかレミゼとか好きだし、やはりこれは好みに合っていそうで楽しみだ。ワイルドホーン氏の起用も音楽好きとしてはたまらない布陣。お、ショーは振り付けがあるのか覚えていかなきゃ!チョロいオタクなのでポンポンも買おう。それにしても振り付け動画がわちゃわちゃしていて可愛いな。ふむふむ。等々。
 また、幸いにしてツイッターでも今回の公演のことを教えて下さる方々がいた。(後述する予定だがこれがまた大変助けになった。持つべきは類友。感謝。)今回はトップコンビお披露目公演で、二人ともはちゃめちゃに歌が上手い?ほうほう期待が高まりますね。オタクが好きそうな役をはちゃめちゃ顔が綺麗な人がやっている?ほほう何という方なんですか?あさみじゅんさん?ん?どこかで聞き覚えが……

 

 皆さんは知っているだろうか、あの、左後ろの人顔が綺麗騒動を。

 

 F〇S歌謡祭で宝塚の方々が出演した際、「あの左後ろの人だれ!?めちゃくちゃ美人!」とツイッターではちょっとした騒ぎになったのだ。宝塚に興味は無く、なんならそのTV放送も見ていなかった私でさえ、そのお顔とお名前は見かけていた。それが何を隠そう、あさみじゅんさんである。

 お噂はかねがね!とちょっとしたお導きみたいなものを感じて、ますます期待に心躍らせながら、観劇当日を迎えるのだった。

 

つづく。